恵みの山文字通り「恵山」
恵山(えさん)は標高618m。道南渡島半島の東端に今も噴煙をあげる活火山。
この恵山には、津軽海峡を観ながら戸井側から道道635号元村恵山線を使ってのアプローチと、南茅部側から道道231号椴法華線からのアプローチがあるが、この両線は共に行き止まり。
つまり、恵山の東海岸線は道で繋がっておらず。どちらからアプローチしても最果て感がある。
ムール貝のワイン蒸し
恵山を取り巻く海は、津軽海峡側、噴火湾側共に豊な海だ。津軽海峡側の戸井は、青森下北の大間と並び称される海峡マグロの名産地。また、近くの岩場やテトラにはビッシリと見事なムール貝が生息している。コンビニで買いこんだ白ワインの小瓶を振りかけて作ったワイン蒸し、なんとも言えない至極の時が蘇る。
鹿部間欠泉の吹き出し
南茅部 がごめコンブ漁
椴法華線側からは、鹿部温泉郷の間欠泉、縄文遺跡で有名な大船遺跡、がごめ昆布で有名な南茅部を通ることとなる。
元村恵山線も含めてこの界隈、恵山と同じく活火山の北海道駒ヶ岳の両火山の恵みを受けて温泉が無数に存在する。実に恵まれた山、まさに恵山地域だ。
水無海浜温泉
その恵山の恵みの極め付けとでもいうものが、「水無海浜温泉」。
大きく潮が引いた海岸には、大きな浴槽があらわれる。
温泉に到着するまで、恵山灯台への道を外れると、少しの間は道が狭く厄介だが、到着すると更衣室、トイレも一応完備、シーズンには家族連れなどで賑わう。
更衣室
トイレと駐車場
この温泉は満潮時は完全に水没し、干潮時には複数の石で囲われた浴槽が完全に現れるという、全国でも珍しい温泉。
浴槽の底から湧き出す泉温が高いため、完全に海と隔離された状態でしばらくたつと、熱くて入れない程。確かに、だんだん熱くなる湯の中で小魚が右往左往しているのと同時に、蟹が完全に茹で上がっている状態も見ることが出来る。
「可哀想~!」の若い女性の声、顔は笑っている。
混浴のため水着を着用しての入浴客が多く見られるが、フル××の人を見かけることがある。
看板に記載されている函館市のお薦めはスッポンポン。是非挑戦してみて下さい。
昔から「椴法華」とはおかしな名前だなあとおもっていた。誰もがまず考えるように、「トドがホッケを狙う場所」程度かなと思っていたが、水無海浜温泉の看板を読んてみると、日蓮上人の弟子が、中国へ渡る前に入ったという言い伝えがあるということ。「唐に渡る法華僧」つまり「唐渡法華」からきているという説、説得力がある。
が、これもこじつけらしい。
アイヌ語に「トウポクケ」という言葉がある。「山の走り根の下の所」つまり恵山の山すそという意味、このトウポクケが椴法華に転じたというのが正しい説らしい。漢字をあてた人はかなり悩んだのであろうが、結果としてこじつけを産む、罪な当て字をしたものだ。
しかしこのような言い伝えがあるということは、古くから人びとには知られた地域と温泉であったようだ。
一丁上がりの蟹
一丁上がりの小魚
ついでなので恵山岬灯台
恵山岬灯台は1890年(明治23年)11月1日に点灯、太平洋戦争での空襲で破壊されたが、その後再建。1995年(平成7年)までは、有人灯台であった。
敷地内には函館市灯台資料館があるのだが、中へ入ってみると、話題が少なすぎるのか、恵山岬灯台についての情報はほとんど見るべきものが無い。