北海道中膝栗毛

祖(みおや)の松  せたな町北桧山区若松

日本海太櫓のベニカモイから太櫓川を遡ると、若松地区。
せたな町の中でも農業に特化した内陸の地域である。
国道229号線を南下して、2005年に閉校となった若松中学校跡地を過ぎてすぐ右側に二本の老松(おんこ松)が見える推定樹齢900年の対のおんこ松。この地がまさに「若松」の歴史のはじまりの地。
明治29年福島県会津若松の同志が500町歩の未開地の貸付を得て入植を開始した場所であり、「若松」命名のきっかけとなった場所でもある。
この地の弥栄を念じて、おんこ松を「祖の松」と名付けた。
以来、124年の今、北に狩場連山、南に遊楽部という道南の名峰に囲まれた太櫓川沿いの恵まれた大地の町を見守っている。
若松神社を中心にして国道沿いに細長く続く町は、日頃は静かな、秋の白虎の祭りには豪快に四季折々の顔を見せる。
遊楽部山中を源流に町に沿って北西に流れる太櫓川には鮎の魚影濃く、秋には鮭が国道の眼下を遡上し産卵する。小川地区の町営牧場から観る日本初の洋上風力発電がまわる「せたな」港、三本杉、狩場連山は絶景だ。

追分ソーランラインの旅の途中、唯一入る山間の村落でちょっと一休みしてみませんか。

太櫓川に遡上する鮭