例によってあてもなく成り行きに任せて車をはしらせていると。
「ウソタンナイ川」という標識を見つけた。なんだろう?
たどり着いてみると、言うのもはばかられるようなくだらないおやじのダジャレ「嘘が足りない川」という意味ではなかった。
あっ! 言ってしまった。
本当は、「お互いに(ウ)滝が(ソ)掘って(タ)いる(アン)川(ナイ)」というアイヌ語が語源だそうだ。
「ウソタン」に「宇曽丹」と漢字を充てる場合もある。
北海道オホーツク海に面するホタテ漁などで有名な枝幸郡、北緯45度線が通る町が中頓別。
町内を流れる頓別川水系の支流の一つが「ウソタンナイ川」である。
「ナイ」が川の意味なので、川川とダブルが、、、、?。道内には「・・・ナイ川」が多い。
この、一見特に変哲の無い川が、1890年代にゴールドラッシュに沸いたアラスカのクロンダイクとほぼ同時期に、「東洋のクロンダイク」といわれるほどゴールドラッシュに沸いた時期があった川なのだ。
1952年に閉山となるまで55年間、ピーク時には1万数千人が押し寄せるほどににぎわったという。
初めは全く無秩序な密採という状態に人々が群がったが、後に入区料をとって採取を許可する許可地となり、秩序が人を呼んで市街地まで出来た。
入区料は1か月4~12円、婦女子は半額というから、昔も婦女子に優しい制度はあったのだ。最近であれば3/4額を設定する必要があるかも(本当の余計な談話だ)。
閉山後64年たったウソタンナイを訪れてみると、とってもそんなゴールドラッシュがあったとはイメージが沸かない程穏やかで、静かな、自然豊かな川だ。川岸は「砂金採掘公園」として町の観光施設の一つとなっている。
実際に「ウソタンナイ川」の川底をさらう砂金採掘体験も出来るということだ。砂金堀りの世界大会まであるんだと。
またここ一帯は、「ウソタン砂金共和国」という独立国にもなっていて、大統領制。補佐官がずいぶん多いがしっかりした国家組織のようにみえる。
北海道の金産出の歴史はとても古く12世紀頃までさかのぼると聞く。
産出地はほぼ全道各地に及び、特に道南渡島半島各地は松前藩の時代から、一時アイヌとの抗争で衰退した時期もあったが明治になって再び砂金採取は盛んとなり昭和初期まで、規模の大小はあっても盛んに砂金(ほとんどが金鉱脈の掘削ではなく砂金)採取が行われたという事実が各地の町村に伝わっている。
知内町、せたな町、今金町、長万部町、島牧村、八雲町、・・・・・・・・・・・軒並みと言って良いほど。
アイヌの埋蔵金伝説なるものも、複数ある。北海道は金の宝庫、まだこれからも可能性があるのでは?
「欲とロマン」の血が騒ぐ。
今北海道を旅行して金の話題に接することはあまりないが、名前の面白さにひかれてふらりと立ち寄った「ウソタンナイ」が、北海道の凄さに思いを巡らすきっかけとなった。
川の上流には金山神社跡や金鉱、川の流れをコントロールするために作った石垣等採掘の様々な遺跡があるということだ。
今回は、夕方の立ち寄りのため細かく探索できなかったので、もう一度訪ねてみたい。